南相馬のためにできること

※状況は日々激しく変化しています。この内容はあくまでも、私が現地にいた当時の状態を書いています。
※この広報活動は日本ユニバとしてではなく、ボランティアとして現地の情報を見聞きした私個人としてのものです。意見や質問は、私宛てでお願いします。


3月19日〜21日の三日間、日本ユニバのボランティアドライバーとして、東京・福島間を二往復して支援物資を届けました。こちらの詳細は、別途まとめたいと思います。(除染が必要になるほどの場所には近づいていません。念のため。)
第二便では、南相馬に参りました。その際に市役所の担当の方や避難所の方々、自宅に残られた方々から聞いた情報、また市内を回りながら見て確認した情報をもとに、この日記は書いています。
不十分な部分、あいまいな部分、また私個人の思いが色濃く出ている部分もあります。しかも、大変な長文です。それでもどうか、読んでいただきたいのです。


原発の北に位置する福島県南相馬市は今、地震津波放射能・政治の四重苦にあっています。
まず地震により、建物や道路が崩れ、同時に津波が起こりました。
津波により、海岸添いの全てが押し流され、原発では放射線漏れの危険が発生しました。
放射能に対して被曝を防ぐために設定された「30km以内の屋内退避ライン」が恐怖を煽り、あらゆる資源の流入が遮られました。
今現在、これらの中で過去の被害になったものはありません。震度4クラスの余震が毎日続き、安眠はできません。津波にさらわれた地区は手付かずです。健康に直ちに問題ないとは言われていますが、見えない放射能の恐怖に常にさらされています。屋内退避の指示により圏内の流通は途絶え、援助も復興も動きだしません。全てが現在進行形の被害でした。

物資は、市長のアピール効果もあって集まり始めています。
しかし今は、今後に備えて集積場に集めておくか、避難所で少量ずつ配布するかしかできていません。
個別のお宅から動けない事情のある方々には、届きにくい状態です。

電気・ガス(プロパンも都市ガスも)・水道は、ある程度使用可能です。
ただし担当ガス会社では新しく入ってくる見通しがないので、枯渇次第終了です。
水は一応届いているものの、水道管があちこちで破損。使用量によってはいつ途絶えてもおかしくありますん。担当業者はすでに退避しており、修復は不可能です。ですが、井戸水を使えている方は少なくありません。
そして現状、市としては新しい業者への依頼などまでは、とても手が回りません。

車両用のガソリンは総量が少ないため、GS前に10時間以上並んだ上で、10リットル制限でしか買えません。家や避難所との往復でも消費するので、残るのは福島市などへの買い出し分程度です。

避難所にいる被災者ができることは、多くありません。仲間と話をする、ガソリンスタンドに並ぶ、食料配給を手伝う、家族の火葬を待つ、車に待機させたペットの面倒を見る、など…。家などの破壊は規模が大きすぎて、例え重機が動いても片付けには長い時間が掛かります。
私たちが物資を届けた鹿島中学校体育館の避難所は、ご年配の方を中心に80名ほどが避難生活をしていました。食事は、朝がおにぎり一つとスープ一杯、昼がパン一つ、夜はまだ未定という状態。これで活動的になれますか?
ショックが大きすぎるせいか、皆さん逆に普通なんです。ロブスターが跳ねるオモチャが突然動きだしたのを見て、笑ってさえいました。その疲れた笑みが、余りにも悲痛でした。

市の方針は「全員の圏外への退避」です。ライフラインは綱渡り状態で整備をする者ももういない中、無理もありません。
これに対して「もう家に戻れなくなるのでは」「残った人間の方が優先的に援助されるんじゃないか」という声が聞かれました。また、家を離れられないご家族がいるなどの事情がある方もいらっしゃいました。こちらももっともです。
市としては動けない方々も見捨てるつもりはなく、むしろどう助けられるかを考えてくれています。ですが、市役所の方々も被災者。人数の面でも燃料の面でも、できることに限界があるのです。

もともと7万人ほどだったという南相馬市の住人は、現在1万人以上くらいだろうとの見通しです。これは確実な数ではなく、把握できている県外退避者や避難所にいる人数からの推測です。
20日、避難所の多くの方々が市が手配したバスで県外に退避できたことで、ようやく各家庭の確認が始められた状態です。自衛隊の方々も協力してくださっていますが、退避命令の地域よりも活動できる内容が限定されてしまっています。
ご遺体の確認や行方不明者の捜索などは全て後回しになり、生きている人の集約を最優先にしています。そんな中での30km屋内退避指定により、まわりの地域や自治体と協力しあう態勢が阻害されています。
ご存じですか?新潟県の受入先に行く時でさえ、阿賀までは自力で出る必要があるのです。市は必死に動いていますが、そんな余力がどこにあるでしょうか?

南相馬放射線量は、決して他の地域と比べて高いわけではありません。むしろ、より遠くても平均値が高い場所もあるくらいです。ただ原発から20〜30kmの距離にある、ということが先走っているのです。
ある方が言っていました。「国の方針により、動きが取れない。中途半端な屋内退避なら、いっそ避難指示の方がマシだ。」と…。


もっと、できることがあるはずです。少数の個人・NPO自治体任せだけでは、もはや対処しきれるレベルではありません。
どうかこれを読んだ個人・団体・企業・マスコミ・政治家・その他の方々、知恵と力を貸してください!

■現状を発信してください。
可能なら現地に入り、生の声を聞いて伝えてください。それがきっと、周りから現状を変える一番の力になります。
この日記は自由に転載してくださって構いません。(書いた者として責任を果たしたいので、必ずリンクを貼ってください。追記や変更の可能性もあります。)

■必要な物資や資金を現地に送ってください。
中でも、ガソリンはあらゆる意味で生命線です。届く方法を模索できないでしょうか?
(追記)ペットの餌が少なかったです。現地で調達できず別の市まで買いに行くと、その分のガソリンが消費されてしまいます。家族と家を失い、精神的な拠り所がペットだけという方もいらっしゃいました。関係機関にご確認の上、必要そうなら提供をお願いします。(追記ここまで)

ライフラインを復旧する方法を探してください。
退避者が戻る場所がなければ、いずれ各地で限界が訪れます。すでに、その兆候は出始めているそうです。

■「屋内退避」の危険性をアピールしてください。
ニュースなどでは、非常に簡単な取り上げ方しかされていません。私自身、現地を見るまで甘く見ていました。これ以上、このような地域を増やさないためにも。

■可能なら、人的支援に参加してください。
(追記)ただし、条件として「ガソリンや食料を現地以外で調達できる方」「被災者の心に触れる相当の覚悟ができた方」「関係機関や現地との調整が可能な方」に限られると思います。闇雲に現地に行っても、ご迷惑をかけてしまいますので、個人より団体を通じる必要性が高いです。(追記ここまで)
各戸を訪問して安否確認する、物資の移動を手伝うなど、人手が足りない部分は限りありません。
…ですが、やはり現地の放射能リスクはゼロではなく、私が保障しきれるものではありません。申し訳ありませんが、自己判断をお願いします。今は入れないので地域外から活動するという判断も、間違いなく正当性があると思います。

■その他、できること、した方がいいこと、気付いたことなど、お伝えください。
私の文章は拙く、伝わりにくい部分も多いと思います。また、考えや知識も不十分です。そういった部分、ご指摘いただけると助かります。


ここまで読んでいただいて、心から感謝いたします。ありがとうございます!
この日記を通じて、少しでもたくさんの方が南相馬市の現状を知り、現状打開の方法を考え、実践してくださることを切に願います。
私だけでは余りに力が足りません。どうか、ご協力ください!