原発賛成派&反対派の方へ

北欧に住むピーダーセン恵さんのブログ記事を紹介させていただきます。
ちょっと長いですが、原発やエネルギーのことに関心のある方はぜひ読んでみてください。

Lille Du 『Hope 希望』
http://mormorsscandinavia.blogspot.com/2011/03/blog-post_22.html


これを読んで、私は特に【エネルギー政策の方向性】と【送電網整備の重要性】について強く共感し、感じるところがありました。
記事の中から引用をしつつ、まとめてみたいと思います。
以下、≪≫内はブログ記事からの引用です。



【エネルギー政策の方向性】

≪まとめると、原発の長所は、CO2排出量が石油・石炭よりは少ないこと。風力・地熱・太陽光・波力発電より、安定的供給ができること。
短所は、どんなに発展した設計でもってしても、完全に事故のリスク がないとはいえないこと。事故以外にも、テロリストにより利用されたときの危険性があること。放射能が低下するまで10万年はかかる核廃棄物が必ず出て、それを永久に保管しなくてはならないこと。 ≫

自然エネルギーを本気で進め、開発・実用している先進国のことを知れば知るほど、私は思います - 自然エネルギーが非効率だから原発に頼るしかなかったのではなく、原発に頼ることに疑問を抱かずにきたから、自然エネルギーの発展にかける力・お金・政策が十分にかけられてこず、だから、自然エネルギーは無理、と思われてきたのではないか、と。≫

≪急に原発を止めるわけにはいかなくとも、必要な電力を確保することを鑑みながら、段階的に、代替エネルギーに 転換していくことは不可能ではないはずです。≫


よく「原発はエコで安定的だ」という風に言われます。しかし、燃料となる濃縮ウランの枯渇が予測されていること、排出CO2がゼロではないこと、近隣海洋への影響が火力よりも高いことなど、必ずしも文言通りではない面もあります。また、万が一の事態になったとき大きな被害が広範囲に長期間及ぶことも、今回の事故で明確になりました。
心情的には「危ない原発はすぐに止めてほしい!」という方もいらっしゃるでしょう。しかし、日本における原発によるエネルギー供給の割合は小さいものではなく、直ちに全てを止めるというのも現実的ではないと思います。福島原発一箇所分+α(停止中の火力発電など)でさえ、関東では計画停電のような事態に陥っているのですから。

個人的には、早急に全原発の安全性点検→危険性の高い所から順次安全性向上に着手、同時に非原子力サステナブルエネルギー開発推進→エネルギー供給バランスを見ながら段階的に原発停止、代替エネルギーへの移行→最終的には全原発の停止、という流れがいいのではないかと考えています。
恵さんの考えはこれに近く、嬉しかったです。



【送電網整備の重要性】

≪いくら自然エネルギー地方自治体・民間企業が開発・実用したとしても、送電網に流せず、自由に売電出来なければ意味がありません。また、国民の総意(コンセンサス)が、たとえもし脱原発であっても、送電網が大手電力会社に占有されていれば、コンセンサスを生かすことが出来ません。
送電網を、国民のもの、とすることが、日本にとっての課題だと思います。≫

デンマーク国内、さらにEUでは、送電網 (national grid) がお互いの国につながれています。
そのため、色々な場所に設置された風力発電が送電網でつながっているので、あるところで稼動が下がっても、別の場所で稼動している風力発電の電力を使うことができ、お互いを補いあい、安定した供給、また電力の売買が可能です。
つまり、風力発電大国であっても、それぞれの風力発電の供給量はもちろん変動する。しかし、送電網でつながっていることにより、供給量を補い合い、風力発電による電力の安定した供給が国内で総合的に成し遂げられているのです。 ≫


こういった視点というか重要性は、今まで理解してなかったですね〜。
今後、再生可能ながら供給力が不安定な自然エネルギーを本格的に導入していく上で、広範囲の電力相互補助を可能にする送電網の統一・開放は大切だと感じました。それに加えて、ちょっと前に新聞によく載っていたスマートグリッドhttp://www.kankyo-business.jp/topix/smartgrid_01.html)の整備も必要不可欠になりそうです。

送電網整備が進めば、発電所の停止など緊急事態の際にも、応用が利くようになると思います。
これまで、こういった取り組みは本腰を入れて行われてはいなかったのではないでしょうか。実際、関東と関西ではHzが違うことで、補助しあうためには中部で変換をしなくてはならないという現状があります。



【対立を乗り越えて】

上記二つに加え、強く感じたのが「原発賛成派vs反対派という対立構造では、もう今の問題を乗り越えていくことはできないのではないか」ということです。
原発の「安全神話」は崩れてしまったように思います。そんな中で、対する「危険神話」のようなものが広まっていることを感じています。しかしこれらは両方とも、建設的に問題解決をしていく上で障害になってしまうのではないでしょうか。

相手のことを否定して一方的に持論を展開するのではなく、お互いの意見に耳を傾けて組合せ、新しい考え方を探っていくことが必要だと思います。
不可能ではないと信じます。だって、賛成派も反対派も、目指す所は「安全性」と「サステナビリティー」という共通のキーワードのはずですから。



最後に、とても共感・感動した恵さんの言葉を引用させていただきます。

≪私は、日本人の一人として、この先何十年をも見すえて、今ある原発と生きつつ、少しずつでも、安全で安心な国に、何十年かけてでも出来たらと願っています。そのために出来ることの一つは、日本であまり知られていないと感じること - 原発がなくとも、国民の意思で、エコ発電をゼロから育てあげた国に学べることがほんの少しでもあるはずだということをご紹介することだと思いました。 ≫

≪こんな被害のあるとき、そもそも原発のことを、事故を契機に気づいたことを書いてもむなしい気持ちすらしました、遠くにいる私に何ができるだろう・・。原発のことだって、今まで時々、危機感は持っても、追及して知ろうとまではしなかったくせに・・えらそうにかけるほど、私は知識があるわけでもないし、頭がいいわけでもなく、専門家でもない、ごく普通の働く母、一市民です。私には見えていないこと、きっとたくさんあります。日本のこと、世界のこと・・・でも、悪あがきかもしれないけれど、意味がほんの少しでもある と信じたことを書きました。≫


私も、少しでも気付き感じたことから学び、それを伝えていく姿勢を大切にしたいと思います。



大変長くなってしまいました。ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
勉強不足なため、的外れなことを書いているかもしれません。何かありましたら、ご指摘下さい。